デザイン前に準備しておく10の取り組み

Date:

Share post:

制作に携わっていると、気持ちが焦るばかりで手を先に動かしたくなることが多くあります。
その誘惑に負けて制作を先行してしまうと、考えながら手を動かすため余計に時間がかかったり、後戻りが発生したりと、トータルで見ると無駄な作業時間が多くなってしまいます。これは改善できるのでしょうか?

自身がプロジェクトの目的をしっかりと理解したり、不明点を見つけ出しあらかじめ解決しておくなどの下地を整えることで、企業からの要望に対する新たな提案や様々な視点から問題解決方法を見つけることができます。

そこで、新規プロジェクトの際にWETCHが行っている、デザイン前に行う10の取り組みをまとめました。


1. 企業の業界や取り扱いサービスを知る
2. 企業のビジョン、理念を知る
3. 企業のブランドガイドラインを知る
4. プロジェクトのゴール、戦略を知る
5. 要件定義、確定事項を確認する
6. ターゲット層を明確にする
7. カスタマージャーニーを作成する
8. 消費者ニーズ、インサイトなど市場動向を知る
9. ブランドイメージを認知させるデザインのトーン&マナーを決定する
10. 企業とのイメージ齟齬を解消する


1.企業の業界や取り扱いサービスを知る

よりよい設計をするために、企業の業界や取り扱っているサービスを知ることは必須です。なぜならば、デザインとは情報を整理することであり、情報という要素がどの属性になるか、どれと共通点があるか、など情報そのものを知っておく必要があるからです。
業界、サービスを知るために、以下のように情報を探していきます。

  • 企業のWebサイトまたはパンフレットを見る
  • 同じ業界内にいる他社のWebサイトを数社調べる

企業を理解するためには、Webサイトやパンフレットを見るのが早いと思います。さらに、会社の雰囲気、プロジェクトの温度感など、直接人とのやり取りをしているディレクターに確認すると、より具体的な企業像が掴めると思います。
また、同じ業界内にいる他社のWebサイトを調べることで、その業界に共通するセオリーや常識といったものが見えてくるようになります。


2.企業のビジョン、理念を知る

これは言わずもがな感がありますね。企業のビジョンや理念を知ることは、「何を大切にしているか」「どのように社会的貢献を実現しているか」を明確にすることになります。
それによって、情報の取捨選択や、画面ゾーニングをどうするかなどの判断を適切に行うことができます。


3.企業のブランドガイドラインを知る

企業の中にはブランドイメージを統一させるため、明確にガイドラインを設けている企業もいます。ロゴのアイソレーションや、色、フォント、サービス名など、プロジェクトを進めるにあたって守らなければならないルールをしっかりと確認しておきましょう。


4.プロジェクトのゴール、戦略を知る

プロジェクトのゴール(目的)を明確にすることで、やらなければならないタスクの詳細を洗い出すことができます。また、発生した問題に対して、それを解決することでゴールに辿り着けるものなのか、それともゴールに沿っていないものなのかを判断する基準になります。

戦略とは、プロジェクトのゴールへ行くために進むべき方向性、シナリオです。どのように人を集めるのか、そのためにはどんな改善、施策を行うのかなどを筋道立てたストーリーを理解することで、それを元にデザイナーに期待されている画面設計がどういうものなのかを考えていきます。


5.要件定義、確定事項を確認する

特にWebサイトやWebサービスなどは要件定義をしっかり決めておくことが大事です。開発時に必要な要件定義の粒度まで細かくしなくても大丈夫ですが、ユーザーの要望を「どうシステム化するのか」を知っておき、画面設計に反映させる際に、無理のない挙動、画面遷移を心がけるようにしましょう。その中でも必ず達成すべき機能などは確定事項として、デザインに反映するようにします。


6.ターゲット層を明確にする

よりプロジェクトの効果を上げるためには、ユーザーの気持ち、感性にあったものにする事が必要です。企業やデザイナーの感性で決めないようにしましょう。なぜならば、あくまで制作物を使用する主役は「ユーザー」だからです。

ターゲット層を明確にすることで、ターゲットの望むイメージやキャッチコピー、ページ構成を理想に近づけることができます。また、「なぜこのデザインなのか」を論理的に伝えられるメリットもあります。
余裕があれば、ペルソナまで考えてみると深く考えられると思います。

  • デモグラフィック属性・・・企業なら業種や業態、売上規模、地域など。個人なら年齢、性別など
  • サイコグラフィック属性・・・趣味趣向、価値観、欲求など
  • ビヘイビア属性・・・購入頻度、来訪回数など

7.カスタマージャーニーを作成する

上記で確認したターゲット、ペルソナの動き(行動・思考・感情)を時系列で表しましょう。

  • 普段からどのように考え、行動し、何に悩んでいるか
  • どのようにターゲットと制作物が接点を持つか、どんな行動をしたら制作物に辿り着くか
  • ターゲットがどのようにして制作物を信頼し、評価するか
  • 最終的にコンバージョンするひと押しになるものは何か

など具体的な行動をイメージすることで、より最適なサイト構成や動線などを提案していく材料になります。


8.消費者ニーズ、インサイトなど市場動向を知る

市場動向を知ることで、消費者が必要としていることや企業の立場、ポジションが見えてきます。どのような訴求が今の市場にハマるのか、企業の強みを活かしてどうやって訴求していくのかを考えていきます。

インサイトとは、マーケティング用語で消費者自身も気づいていない無意識の心理のことです。インサイトが分かれば、それに対しての企業からユーザーへの提案ができるようになります。結果企業独自の強みとなり、戦略に説得力と深みが出てきます。


9.ブランドイメージを認知させるデザインのトーン&マナーを決定する

ブランドイメージを適切に伝えるには、それにあった色合いや雰囲気が必要になります。そのブランドを象徴するようなキーワードをピックアップし、カラーやレイアウト、フォントなどをそれに合ったものに決定していきます。

トーン&マナーの決定方法はそれだけで記事が成立してしまうので割愛しますが、目に見える部分なだけに、ここだけで全体のイメージが決まってしまうので、慎重に考えていきましょう。


10.企業とのイメージ齟齬を解消する

特に気をつけたいことは、企業が想定している「イメージ」と制作会社が想定しているものには認識違いが必ず発生するということです。企業側からしても、新しいサービスを始める場合は特にイメージしずらいということもあります。

そこで、「これは良い」と思うイメージができなくても、「これは違う」というものを確認しておくといいでしょう。「これは違う」が分かれば、NGはまず避けられます。避けた上で、「より良い」と考えられるデザインの提案が可能になります。
こうして企業との齟齬を認識することで、スタート地点をなるべく同じ前提にし、プロジェクトを進めることができるでしょう。


まとめ

こういった基本の情報があって、初めて「良い」「悪い」の判断ができます。それはプロジェクトをスムーズに進行させるだけでなく、自身の力で理論的に考えていく能力も高まっていくと思います。そして問題を解決する力だけに留まらず、問題を発見する力にもつながっていきます。まだまだやり方は試行錯誤しながらですが、より質の高いものを制作できるようにと考えています。

▼ 概要がわかるようにシートでまとめておくと便利です。

Related articles

ローカルSMTPメールサーバ(Mailpit)をE...

ローカル環境でのメール送受信テストにつ...

EC-CUBE 4系のプラグイン開発について その...

今回は、ちょっとハマったプラグインのイ...

EC-CUBE 4系のプラグイン開発について その...

前回のブログの最後でちょっと書いたので...

EC-CUBE 4系のプラグイン開発について その...

前回、プラグインを一旦有効化させて管理...