弊社では開発用のPCとしてMac miniを使用していますが、様々な理由で買い替えが発生します。
ハード故障による買い替えもありますが、ソフトの挙動が不安定になったり動作が重くなったりなどで買い替える場合もあります。後者の場合、ハード的には問題ないことが多いため、そのまま捨ててしまうのは惜しいです(と言うことで、使われないMac miniが溜まっていきます…)
せっかくなので、これらMac miniをLinuxサーバ機として使用してみたいと思います。
Mac mini本体にLinuxを直接インストールすることができるかどうかは確認していませんが、運用・管理の利便性や柔軟性を考慮してハイパーバイザー「VMware vSphere Hypervisor (ESXi)」(現在のバージョンは7.0)を使用し、その上で仮想マシンとしてLinuxサーバを動かすようにします。
この運用形態であれば、1つのハード上に複数のサーバ環境を構築・運用することもできますし、仮想マシンに割り当てるリソースに関しては後から変更することもできるので(ディスク容量のみは増やすことはできても減らせませんが)、最初はスペック控え目でサーバを立てておいて、必要に応じて増やしていくことも可能です。
弊社が運用しているようなWebサーバのスペックに対して現在のMac miniのスペック(メモリ8or16GB、ディスク1TB)は十分過ぎるので、上記のように複数仮想マシンを運用するのが効率的かと思います。
ESXiのISOイメージダウンロード
まずは、以下のサイトからESXiのISOイメージをダウンロードします。
https://www.vmware.com/jp/products/vsphere-hypervisor.html
なお、ユーザー登録が必要です。
ユーザー登録に際してはそこそこの情報入力も必要になりますが、頑張って登録します。
登録したアカウントでログインし、「VMware vSphere Hypervisor 7.0 ダウンロード センター」なる画面から「VMware vSphere Hypervisor (ESXi ISO) image」をダウンロードします。
なお、同画面上の「ライセンス情報」なる欄にライセンスキーが表示されていますので、これを忘れずに記録しておきましょう。
インストール媒体作成
ダウンロードしたISOイメージでインストール媒体を作成します。
USBメモリを使用することもできるようですが、昨今全く使わなくなったDVD-Rが相当数残っていたので、Mac mini同様に不用品活用の意味も含めて今回はこちらを使用します。
なお、ISOイメージのダウンロードおよびDVD-Rへの書き込みはESXiをインストールしようとしているMac mini(High Sierra)自体で行いました。
既に数世代前のバージョンですが、ISOイメージのDVD-Rへの書き込みは以下のように極めて簡単に行えました。
- 対象ISOイメージを選択し、右クリックメニュー表示
- 「ディスクイメージXXXX.isoをディスクに書き込む」(XXXXはISOイメージファイル名)を選択
以前はディスクユーティリティを起動してゴニョゴニョやったはずですが、知らない間に随分簡素化されたものです。
ESXiインストール
インストール対象Mac miniを再起動しますが、先のインストール媒体作成後の状態であれば、ISOイメージ書き込み済みDVD-Rを挿入したDVDドライブが接続されたままの状態のはずです。そうでなければ改めてそのような状態にした上で起動します。この時、optionキーを押しながら起動することで起動ディスクが選択可能になりますので、DVDドライブを選択します。
ESXiのインストーラが動き出すと上半分灰色、下半分黄色の画面が表示されます。
画面下にプログレスバーが表示され、少しずつ進んでいきますので、終わるまで待ちます(数分程度)。
以降は画面表示に従って操作しますが、流れはざっくりと以下のようになります。
- インストール開始メッセージ:Enterで次へ
- ライセンス確認:F11でライセンスを受け入れて次へ
- インストールドライブ選択:デフォルトのままEnterで次へ
※その後、ディスクを上書きする旨のダイアログが表示されますが、Enterで次へ - キーボード選択:使用しているキーボード(普通はJapanese)を選択し、Enterで次へ
- rootパスワード設定:新規にパスワードを決めて入力し、Enterで次へ
- 最終確認画面:F11でインストール開始(数分程度)
- インストール完了画面:Enterで再起動
起動するとインストール時のように上半分灰色、下半分黄色の画面が表示されます。
ここでF2を押すと設定画面に移動しますが、その前にログインを求められます。
「Login Name」には「root」、「Password」にはインストール時に設定したパスワードを入力し、Enterを押します。
設定画面では左半分黄色、右半分灰色に変わります。
左側がメニューになっています。
固定IP設定
弊社においては大半のMac miniのネット接続をWiFiで行っていますが、ESXi起動状態ではWiFiは使用できない模様です。
よって、改めて有線接続に切り替えて運用する必要があります。
その際、デフォルト状態ではDHCPにより適当なIPが割り振られるようになっていますが、同機はサーバとして運用するものであるため、事前に固定IPを割り振っておきましょう。
左メニューから「Configure Management Network」を選択し、次の画面の左メニューから「IPv4 Configurration」を選択します。
「IPv4 Configuration」ダイアログが表示されるので、「Set static IPv4 address and network configration」を選択し、以下の情報を入力します。
IPv4 Address | 当該マシンに割り振る固定IPを設定 |
Subnet Mask | サブネットマスクを設定 |
Default Gateway | デフォルトゲートウェイのIPを設定(弊社環境ではブロードバンドルータ) |
Enter入力でダイアログを閉じると画面右側に表示されている内容が上記で設定した内容に更新されます。
ただし、実際に同情報がシステム的に有効になるのはEscキーを押して同画面から抜ける段階です。ここで変更結果を有効にするかどうかを聞かれますので、「Y」を押して設定を反映しつつ設定画面のトップに戻ります。
DNS設定
後述するNTP設定などでも外部のサーバを指定しますが、その際の名前解決などのために使用するDNSサーバを指定しておく必要があります。
左メニューから「Configure Management Network」を選択し、次の画面の左メニューから「DNS Configuration」を選択します。
「DNS Configuration」ダイアログが表示されるので、「Use the following DNS server address and hostname」を選択し、以下の情報を入力します。
Primary DNS Server | プライマリDNSサーバのIPを設定(弊社環境ではブロードバンドルータ) |
Alternate DNS Server | セカンダリDNSサーバのIPを設定(空で問題なし) |
Hostname | 同マシンの名前を決定して設定 |
固定IP設定と同様に設定画面のトップに戻る段階で設定結果が有効になります。
WebUIへのアクセス
上記までの操作は対象マシンのコンソールで直接実施しますが、以降の詳細な運用・管理操作はWebUIで行います。
前述したようにWiFiは使えませんので、事前に対象マシンを有線でLANに接続しておきます。
対象マシンと通信可能な別マシンのブラウザで対象マシンのIP(先に割り振った固定IP)を指定してアクセスします。
ログイン画面が表示されますので、rootアカウントでログインします(パスワードは先に設定したもの)。
ライセンス登録
この状態でも使用を開始することができますが、ライセンスの設定を行っていないと60日後に使えなくなってしまうようです。
そうならないようにライセンス設定を行っておきます。
画面左メニューから「ホスト」の「管理」を選択し、右画面上のメニューから「ライセンス」を選択します。
「ライセンスの割り当て」を選択すると「ライセンスの割り当て」ダイアログが表示されますので、ESXiのISOイメージダウンロード時に取得したライセンスキーを入力し、「ライセンスの確認」をクリックします。
問題がなければ「ライセンス キーは vSphere 7 Hypervisor に対して有効です」というメッセージが表示されますので、「ライセンスの割り当て」をクリックします。
画面上の表示において、「キー」に上記で設定したライセンスキー、「有効期限」に「実行しない」と表示されていればライセンス登録は完了です。
NTP設定
仮想マシンではなくESXi自身のタイムスタンプの正確性にどの程度の意味があるかは分かりませんが、一応NTPを有効にしておきます。
画面左メニューから「ホスト」の「管理」を選択し、右画面上のメニューから「システム」を選択します。
「日付と時刻」を選択し、「NTP設定の編集」を選択すると「NTP設定の編集」ダイアログが表示されますので、「NTPを使用(NTPクライアントの有効化)」を選択し、「NTPサービス起動ポリシー」では「ホストと連動して起動および停止します」を選択、「NTPサーバ」では適当なサーバ(ntp.nict.jp, ntp.jst.mfeed.ad.jpなど)を指定し、「保存」をクリックします。
画面上の表示において、「NTP サーバ」に上記で設定したサーバ名が表示されていれば、NTP設定は完了です。
ただし、この段階ではNTPはまだ有効になっていません。有効にするためにはntpdを起動する必要があります。
画面左メニューから「ホスト」の「管理」を選択し、右画面上のメニューから「サービス」を選択します。
一覧内の「ntpd」行を選択し、画面上の「起動」をクリックします。
再度「日付と時刻」画面に戻って、「NTP サービスのステータス」が「実行中」になっていればNTPは有効になっています。
まとめ
上記でESXiの基本的な環境構築は終了です。
インストール媒体は一度作れば使い回しができますし、インストールおよび上記環境構築までであれば、早ければ1時間程度で可能です。
これで、今まで遊んでいたMac miniに俄然価値が出てきました。
ただ、これだけでは何の意味もありません。
Linux仮想サーバ自体の環境構築が必要です。
この辺については次回の記事にて。